「憲法の効果的な学習法方がわからない」と勉強方法に悩んでいる独学者は多いと思います。
行政書士試験の憲法は判例知識も問われるため、難易度の高い科目です。
今回は、合格するための勉強法と考え方を紹介します。
高卒で合格した筆者の得点内訳も掲載するので、得点目標の参考にしてください。
効率的な学習方法で行政書士の合格を勝ち取りましょう。
Contents
憲法の問題数・配点
憲法の問題数と配点を以下の表で確認しましょう。
問題形式 | 問題数 | 配点 |
---|---|---|
五肢択一式 | 7問 (基礎法学 2/憲法 5) | 28点 (基礎法学 8/憲法 20) |
多肢選択式 | 1問(小問4) | 8点 |
五肢択一式は、基礎法学と憲法を合算した問題数・配点です。
憲法(基礎法学含む)は200点中36点とそこそこ配点が大きいため、ある程度勉強時間を割かなくてはなりません。
独学学習者の憲法の得点とは?
筆者が実際の試験で得点した点数をもとに、合格のために必要な憲法の点数を設定しましょう。
下の画像は試験の配点と筆者の得点です。
基礎法学はまさかの0点です笑。独学だと基礎法学で点を稼ぐのは無理だと感じていたので1問(4点)取れてればOKだと思っていたのですが…0点でした。
五肢択一式も事前に設定した点数よりも低かったです。5問中4問(16点)は取れると思っていたのですが、初見の問題や知っているはずの問題が解けずに撃沈。
目標点数の設定
筆者は憲法が苦手だと分かっていたため、理想点数と必須点数の2つに分けて設定しました。必須点数とは、他の科目でも挽回可能な最低限の点数です。
理想目標点数・必須点数の内訳を以下の表にまとめたので参考にしてください。
問題形式 | 点数 |
---|---|
基礎法(五肢択一) 8点満点 | 理想:4点 |
必須:0点 | |
憲法(五肢択一式)20点満点 | 理想:20点 |
必須:16点 | |
多肢選択式8点 | 理想:6点 |
必須:4点 |
筆者は憲法でつまずいたため、憲法の五肢択一式と多肢選択式は必須点数すら取れませんでした…。
一応、失敗しても大丈夫なように他の科目でも必須・理想の点数を設定していたため、本番はかなり焦ったものの、落ち着いて解くことができたと思います。
気になる人は↓の記事で「科目ごとの目標点数は?」の章で確認してください。
行政書士試験の憲法の特徴
行政書士試験における憲法の特徴を把握しましょう。直前模試や本番の試験で焦らずに対処できるはずです。
- 同じ判例でも問われる箇所が異なる
- 初見の問題が必ず出る
筆者は上記を知らずに本番の試験で焦りました…。順番に見ていきましょう。
同じ判例でも問われる箇所が異なる
同じ判例でも問われる箇所が異なると回答すべき内容が正反対になるケースがあります。そのため、判例の結論だけを暗記しても得点に結びつきません!!
というのも、行政書士の試験では、以下の形式で判例問題が出題されているからです。
- 判例の結論を問う型
- 判例の論理思考を問う型
- 結論に至るまでの判断基準を問う型
判例の結論を問う型は、判例の識別と最終的にどのような判決が下されたかを把握できれば良いので対策しやすいです。
判例の論理的思考を問う型は、簡単に言えば国語の問題です。現場で考えさせる問題として処理すべき案件です。
結論に至るまでの判断基準を問う型は、判例内容をしっかり理解していないと解けません。
正直なところ、結論を問う型以外は対策しづらいのが現状です。とはいえ、あらかじめ試験の型が分かっていれば本番で焦ってしまう状況を避けられます。
初見の問題は必ず出題される
憲法分野は初見の問題が必ず出ます。特に、基礎法学は範囲が非常に広いため、ほぼ初見の問題が出題されると思ってよいでしょう。
また、憲法の五肢択一式で直近の判例が出題されると、問題集に掲載されていないため初見から問題を解くことになります。
筆者の場合、多肢選択式でも初見の判例というか判決の際の補足意見から出題されたため、ボロボロな点数でした。(落ち着いて見返すとちゃんと解けるようになっているんですけどね)
個人的な意見として、独学で憲法の問題において初見の問題をなくすのは無理です。むしろ確実に得点できる問題を落とさない方が重要だと思います。
憲法の分野ごとの特徴と勉強法
憲法を分類すると主に以下の2科目に分けられます。
- 人権分野
- 統治分野
科目によって勉強法が異なるため、それぞれ確認してください。
人権分野の特徴と勉強法
人権分野とは以下の内容を指します。
- 基本的人権の内容
- 最高裁判所が下した判決
主に判例問題が出題されるため、判例学習が欠かせません。
また、人権分野は同じ判例でも複数の判例の中から選ばせたり、本番の試験でじっくり考えさせたりと色々な形式で出題されます。
◎人権分野の独学勉強法
人権分野は以下の流れで学習しましょう。
- 事件内容の把握
- 結論の確認(違憲か合憲か)
- 結論に至るまでの考え方の理解
事件内容の把握と結論の確認は簡単に学習できます。問題は結論に至るまでの考え方の理解です。
結論に至るまでの考え方を理解するために、基本問題集で出題された判例問題は解説を重点的に読み込みましょう。
特に以下の点を重視して読み込むと得点につながりやすいです。
- 原則と例外
- 審査基準の有無・内容
- 判決の意義・範囲
似たような事件でも判決が異なっていたり、考え方が違っていたりするため、解説を丁寧に読んで理解を深めましょう。
統治分野
統治分野とは以下の内容を指します。
- 国会・内閣・裁判所の権能など
- 財政・地方自治など
主に条文知識を問う問題が出題されるため、得点しやすいです。
◎統治分野の独学勉強法
統治分野は基本問題集・過去問を解いて、重要な条文の把握・暗記をして得点につなげましょう。
統治分野は条文暗記さえすれば得点できるため、独学で学習しやすいです。多くの人がベースに中高生時代の知識を持っているため、取り組みやすい分野でもあります。
ただし、行政書士試験ではかなり細かく問われるため、条文を覚えるだけでは得点につながりません。条文暗記する前に問題を解いて出題傾向を把握しましょう。
どのように問われやすいか把握してから条文を暗記すると、覚えなければいけないポイントが明確になるため効率良く学習できます。
統治分野は学習した分だけ得点できるため、条文知識を確実に自分のものにしましょう。
憲法の勉強でやるべきこと
憲法の勉強で最低限やるべきことを紹介します。
- 判例を覚えるつもりで解く
- 統治分野を完璧にする
- 暗記と理解のメリハリ学習を意識する
- おおまかな学習計画を立てる
これらを淡々とこなしていけば合格圏内にたどり着くはずです。
判例を覚えるつもりで解く
判例問題が出てきたら、判例文・結論に至る論理・結論をすべて覚えるつもりで学習しましょう。
判例の把握→結論の暗記だけだと、合格点まで点数が伸びにくいです。
また、似たような判例が多く混乱しやすいので、判例の把握と結論だけ覚えていると知識がごっちゃになる可能性があります。
判例問題はストーリー立てて覚えると、暗記しやすく論理思考問題にも対応できます。
統治分野を完璧にする
憲法の統治分野は貴重な得点源となるため、必ず完璧に仕上げてください。
特に、天皇、総理大臣、内閣の権能は問われやすいので、小まめに暗記して知識固めしましょう。
本番の試験で判例問題でつまづいても、統治分野で得点できれば合格できます。
現に判例問題で失敗した筆者が合格できてるので、統治分野は必ず得点できるようにしましょう。
おおまかな学習計画を立てる
勉強を始める前に大まかな学習計画を立てて、定期的に計画を修正しながら本番までに合格圏内を狙えるようにしてください。
行政書士試験は、憲法だけでなく行政法や民法、一般知識など勉強しなくてはならない科目が沢山あります。そのため、憲法は後回しにされがちな科目です。
学習計画のポイントとして、以下の3点を意識しましょう。
- 最初はとっつきやすい統治分野を学習する
- 時間のある夏は人権分野をじっくり学習する
- 直前期は毎日取り取り組む
自分なりの学習計画を立てて、定期的に憲法を勉強する機会を作ってください。また、当初に立てた計画から進捗がズレてくる人が多いので、定期的に学習計画を見直しましょう。
行政書士試験での憲法を解くときの心構え
筆者が試験前に知っておきたかった、本番で憲法を解くときの心構え2つを紹介します。
- 初見の問題にビビらない
- 目標点数を明確に設定する
本番でしょっぱなから冷や汗かいた筆者からのリアルなメッセージです笑。
初見の問題にビビらない
あらかじめ初見の問題にぶつかったときの対策を立てておくことをおすすめします。
とはいっても、ガッツリ行政書士の勉強をしてきた人ほど、初見の問題にぶつかると焦るんですよね…
なかでも、勉強済の判例でも異なる視点から切り込まれた肢が出題されるケースだと「勉強したはずなのに正解が分からない!」と変な汗が出るのでね。
行政書士試験で最初に出題される科目が基礎法学・憲法のため、最初で調子を崩すと後々に響きます。
サッとよんで正解が分からない問題は後回しにする、基礎法学・憲法は行政法・民法を解いた後に解くなど、事前に具体的な対策を立てておきましょう。
目標点数を明確に設定する
理想的な点数と最低限取るべき点数の2つを設定しましょう。
2種類の目標点数を設定する理由は以下の通りです。
- 学習計画を立てやすくなる
- 得点が伸びなさそうなときに焦らずに済む
最低限の点数を設定することで、必要な勉強量が可視化されます。ただ、最低限の点数のみ設定すると、他の科目でコケたときにリカバリがききません。
理想的な点数も設定して、基本は理想点数をとれるように学習しましょう。
本番の試験で憲法の問題を思うように解けなかったとしても、最低限の点数を設定していれば落ち着いて他の科目に移れます。
「自信を持って解けた問題が〇問あるから大丈夫!」と自分に言い聞かせられるのは大きいです。
憲法学習で役に立った・イマイチな問題集
憲法学習で役に立った問題集と筆者に合わなかった問題集を紹介します。
問題集の合う・合わないは人によって異なるため、本屋で内容を確認してから購入してください。
★基本問題集
★肢別過去問集
基本問題集と肢別過去問は五肢択一式の学習に定番の書籍です。初学者でも理解しやすい構成&解説なのでおすすめ。
★40字記述式・多肢選択式問題集
個人的に最も役立った問題集は40字記述式・多肢選択式問題集です!!条文知識の穴埋め問題が最初に掲載されているため、ぼんやりと暗記するよりも効率良く学習できます。
また、記述式で問われる論点、多肢選択式で問われやすい単語などを把握できたので、40字記述式・多肢選択式問題集はまじでおすすめです。
★出る順行政書士 当たる!直前予想模試
直前模試問題集は次の章で詳しく紹介しているので、気になる人はリンクから飛んでください。
続いて、個人的に使わなかった参考書・問題集を紹介します。
評判が悪いものではないので、本屋で立ち読みして自分に合うか判断してください!
★みんなが欲しかった! 行政書士の判例集
学習時間を十分に確保できる人であれば、判例集は大きな武器となったでしょう。筆者の場合、時間が足りなかったため判例集を開いている余裕がありませんでした。
また、あの分厚さに圧倒されて手が伸びなかったのもありますw
★公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6 憲法
スー過去の憲法は、行政法・民法の学習で役立ったので購入しましたが、行政書士試験で問われるポイントからは微妙にズレていた気がします。
一応、勉強し始めの頃に2周ほど回しましたが必須ではなかったかな〜。
直前期は模試問題集で重要論点を把握!
直前期は模試の問題集で重要論点の整理と把握をしましょう。各出版社から出される模試の問題集は、その年出題されやすい論点が網羅されています。
そのため、基本問題集や過去問よりも直前模試の問題集で知識を整理する方法が直前期の学習に最適です。
基本問題集や過去問で復習するよりも、模試問題集で重要論点のおさらいをした方が知識の総固めとして良かったと思います。
不安症かつケチな筆者は受験年度と前年度の模試問題集を使用しました。前年度の模試問題集は中古で購入できます。
重宝した模試問題集はこちら
★出る順行政書士 当たる!直前予想模試
本年度分を購入して良かったので前年度も購入しました。注!年度が連続すると、どうしても被っている問題も出てきます。出題問題が被っているのが嫌な方は購入しないようにしましょう!
★うかる!行政書士直前模試
LEC以外の模試問題集も取り組んだ方がよいかなと思い、前年度の問題集を購入しました!シンプルな作りで良かったです。
まとめ
独学で憲法を得点源にする学習は難易度の高い行為だと思います。しかし、高得点は無理でも合格圏内に到達できるので諦める必要はありません。
憲法でコケても他の科目で挽回すれば十分合格できます。
独学者に必要なポイントは以下の2つです。
- 統治分野を完璧にする
- 初見の問題の対策を練る
人権分野の判例問題は独学だと厄介ですが、決して得点できないわけではないので淡々と学習しましょう。
計画的に憲法学習を行って知識を自分のものにすることが大切です。
憲法の独学に限界を感じたら…
憲法の学習に限界を感じたら、潔く予備校に頼りましょう。重要なのは行政書士試験に合格することです。
独学と比べて費用は嵩みますが、重要論点や注意すべきポイントなどを効率良く教えてくれます。
筆者が予備校を使うなら以下のスクールの中から選びます。
LECリーガルマインド<行政書士向けページ>
LECは有名講師も在籍している大手資格予備校です。
WEB講座だけでなく通学コースもあるため、ひとりで勉強するとモチベーションの維持に苦労するといった人に向いています。
超有名講師である横溝先生のブログは受講生以外でも参考になる内容ばかりです。独学受験生こそ定期的にチェックすべきだと思います。
アガルート<行政書士講座・ゼロから始めて1年合格!>
アガルートはWEB授業に特化した予備校です。フランクな語り口が人気の豊村先生も在籍しています。
豊村先生の授業の様子はYouTubeから確認できるため、気になる人はチェックしてみてください。筆者も手を動かしたくない気分のときは、豊村先生の憲法条文の授業をYouTubeで見ていました。